そもそもハーレーのチョロスタイルとは?
日本語で「チョロ」と言うと少し「かわいい」響きに感じるが、もともとこの言葉は少々センシティブな意味を伴った言葉だ。
アメリカではメキシコ系アメリカ人のギャングに対して使う言葉で、それも蔑称だ。
そのため安易に使っていけいない面もあるのだが、バイクの世界ではハーレーダヴィッドソンの魅力をさらに引き出すスタイルの名称として、ポジティブな意味で使われている。
このハーレーのチョロスタイルを簡単に説明すれば、「車体をローダウンさせて重量感を高めること」に尽きるだろう。
車体をできるだけローダウンすることで、あのハーレーの巨体が地を這うように進んでいるような印象を醸し出すことができる。
さらに、テールランプやヘッドライトを下方にするなどして車体をできる限り長く見せるのも、チョロスタイルの特徴だ。
この「低く、長く」を実践することで、ハーレーがモンスターのような迫力を身につけることになる。
チョロスタイルのルーツ
「チョロ」の名前の意味からも推測できるように、このスタイルはメキシコ系アメリカ人によって生み出されたものだ。
このスタイルがいつ頃生まれたかについては諸説あって定かではないが、アメリカの西海岸に移住してきたメキシコ系移民によってはじめられたと考えられている。
なお、もともと彼らのことは「チカーノ」と呼ばれていることから、チカーノカルチャーの一種として扱われることもある。
なお、チカーノたちのうち、1970年代以降にアメリカの大都市で生まれ育った世代を「チョロ」と呼ぶようになっており、そんな彼らが生み出したハーレーのスタイルゆえに「チョロスタイル」と呼ばれるようになった。
だから名称そのものは1970年代以降に生まれたと言えるだろう。
チョロスタイルのカスタムの特徴
車体を低く・長くを実践するためにロワリングキットを用いる、エアサスペンションを装着する、といった特徴がまず挙げられる。
とくにエアサスペンションは、車体のローダウンは走行時の快適性を犠牲にする面があるため、ほとんどのチョロスタイルで装着されている。
もうひとつ、チョロスタイルのカスタムの大きな特徴がエイプハンガーの装着だ。
車体を低く見せつつもエイプハンガーでハンドルを高い位置にセットする、この見た目のギャップ・アンバランスもチョロスタイルのユニークな点だ。
言い方を変えれば、この「高さと低さのアンバランス」をいかにセンスよく表現できるかがチョロスタイルの生命線とも言える。
ほかの特徴としては、スポークホイルの採用も挙げられる。
ハーレーのパワフルなイメージをより高めることができるうえに、チョロスタイルの重量感やモンスターのような迫力も引き出すことができるのだ。
日本ではなかなか難しいスタイルではあるが、唯一無二の個性を備えたものであることは間違いないだろう。